6番目のユ・ウ・ウ・ツ

漢字の正しい読み方を知らなかったり、間違った意味で覚えたまま
 
言葉を使ってしまったりしたこと、皆さんもありますか? 
 
私はしょっちゅうです。
 
 
造詣 (×ぞうし → ○ぞうけい)
 
適宜 (×てきせん → ○てきぎ)
 
 
このあたりはまだ可愛いもので、
 
 
所謂 (×しょせん → ○いわゆる)
 
 
あたりになると意味も違ってきます。
 
場合によっては相手を怒らせてしまいます。
 
 
横柄 (×よこがら → ○おうへい)
 
 
うーん、まぁ読みとしては間違っているとも言い切れない…
 
間違いですけど。
 
 
「トロッコは最初おもむろに、それから見る見る勢よく、一息に線路を下り出した。」
 
 
芥川龍之介の 『トロッコ』の一文。
 
それまで主人公が一生懸命押していたトロッコが下り坂に入って
 
いよいよ走りだすシーンですが、私は『おもむろ』という言葉を
 
『いきなり』という意味だと思っていました。
 
 
『おもむろ』は漢字で書くと『徐ろ』。
 
徐行の徐、つまりゆっくりという意味です。
 
これ、テレビなどでも誤った使い方をしている方、いらっしゃるようです。
 
 
 
よくある間違いをもう一つ。
 
大事な試合で惜しくも敗れたスポーツ選手へのインタビューで
 
 
「自分では役不足でした」
 
 
無念な気持ちをぐっとこらえて、敗因はすべて自分にあるという
 
日本人らしく潔い言葉… なのですが、
 
『役不足』の本来の意味は、
 
『自分はそんな役では物足りない』という真逆のものでして、
 
『自分の力不足でした』が正しいコメントです。
 
まぁ、そんなツッコミ入れられる空気ではないだろうし、
 
気持ちは伝わるから よしとするんでしょうけど。
 
 
何もここで、国語の知ったかぶりを披露する目的で
 
こんなことを書いているわけではありません。
 
もちろん、自分の恥ずかしい過去の出来事をネタにする前フリです。
 
 
 
子供の頃、父親のきまぐれで銭湯に行くことがありました。
 
 
私はきまって、壁に貼ってある成人向け映画のポスター、
 
もとい指名手配犯のポスターを眺めては、笑顔のモノクロ写真とその下にある
 
「殺人」という言葉のギャップに、恐ろしいものを感じたものです。
 
 
彼らの特徴が様々な言葉で書かれています。
 
あるものは「小太り」、あるものは「歩き方にクセ」、あるものは「○○なまり」。
 
その中で、女の指名手配犯の項目に「小柄」という一言。
 
私はその言葉を読めず、テレビで聞いたことのある言葉を当てていました。
 
 
「こ…こいき?」
 
 
小粋 【こいき】 : どことなく粋なこと。洗練されていること。また、そのさま。
 
 
いや、子供の間違いとはいえ、犯罪者を気の利いた言葉で褒めちゃいかんでしょう。
 
今でも思い出すと、自分で笑ってしまいます。
 
 
 
と、そんなことを久しぶりに思い出したある日、
 
もう一つの大きな間違いを思い出しました。
 
 
私は小学生の頃、学校の授業で、『英会話クラブ』なるものに入っていました。
 
その中でも自分は、本格的な発音で 同級生や上級生よりも
 
できるんだアピールをしようとしていましたが(今で言う自意識ライジングですね)、
 
クラブの参加者ひとりずつ、数字を英語で発音していきましょう、
 
という課題がありました。
 
 
生徒A 「ワン」   (ゥワン、だよねホントは)
 
生徒B 「ツー」   (トゥー、でしょ)
 
生徒C 「スリー」  (ツゥリーだよ)
 
生徒D 「フォー」  (フォアだっての)
 
生徒E 「ファイブ」   (ファイヴェ!)
 
 
と、ここまですべて間違っていた私に順番が回ってきました。
 
そう、すでにお察しの方、その通りです。
 
私は 「シックス」の「シ」を「セ」に置き換えて、ドヤ顔で発音していたのです。
 
 
先生(女性でした)は 目を白黒させて
 
「し、進藤君、も、もう一度、ね。 はい、『シックス』
 
と正しい読み方を促してくれているのに、私はこれが正しい発音だ!とばかりに
 
「セ」に置き換えて、さきほどよりも強く言い直しました
 
 
このやり取りは、4回ほど繰り返されました。
 
その間上級生たちがニヤニヤしているのを
 
(お前らは6年生なのに 何もわかっていない)
 
と思っていたのも また滑稽です。
 
 
やがて先生は諦めたような表情で、次の生徒に「セブン」の答えを求めました。
 
自分の正義が勝利したと思っていたのは とんでもない誤りで、
 
女性教師に性的な言葉を浴びせていたのだと気づくまでに、
 
それほど多くの時間は必要ありませんでした…
 
 
以上が私の懺悔です。 (全て実話
 
進藤 幹人